こんにちは。
最近家で過ごす時間が増えて、なんだか体が重たくてだるいな、と感じる方はいらっしゃいませんか?
いまは様々なダイエットがありますが、やせている人でも気をつけたい話題があります。それは「血糖値」です。
最近の研究で、やせている若い女性は食後の血糖値が高い人(食後高血糖)が多く、糖尿病のリスクが高いことがわかってきました。
高血糖、糖尿病の予防で大切なのは「血糖値をコントロールすること」です。いかに血糖を緩やかに上昇させるかが重要になります。
そこで今日は、血糖値コントロールのポイントである、HbA1c、朝の過ごし方、食事と運動のタイミングについてお伝えします。
血糖値とは
血液中のブドウ糖の濃度のことです。ブドウ糖は、食事で摂取される炭水化物などに含まれていて、胃腸で消化吸収されると、血液の中に取り込まれます。この血糖値を把握するのに有効なのが、HbA1cという数値です。
HbA1cという値
健康診断の血糖を見る項目に、HbA1cという値があるのをご存知ですか?
HbA1cとは、グリコヘモグロビンとも言われ、ヘモグロビン(赤血球内で全身に酸素を運ぶタンパク質)にブドウ糖が結合したものです。血液中の糖が増えると、ヘモグロビンに糖がくっつきHbA1cの値が増えます。
血糖を表す値は「空腹時血糖値」「食後血糖値」もありますが、いずれもある短い時間の血糖量のため、食事やストレスで変動しやすくなります。これに対しHbA1cは、過去1~2ヶ月における血糖値の平均で、一時的な影響を受けて急に変化しにくい値です。
HbA1cの基準範囲は5.6未満
HbA1cの測定値には、日本基準の「JDS」と、国際基準の「NGSP」があります。「JDS」は「NGSP」の約0.4%低い値です。受診日が2013年4月1日以降の検査結果は、「JDS」を「NGSP」に換算した値を用いて表示されることになっています。
基準範囲内 | 保健指導レベル | 受診勧奨レベル | |
JDS | ~5.2未満 | 5.6~6.0 | 6.1以上 |
NGSP | ~5.6未満 | 5.6~6.4 | 6.5以上 |
HbA1cの数値を見る上で大切なのは、長期間にわたり観察することです。過去数年分の健康診断結果を見比べて、上昇してきていたり、5.6を超えていたりした場合は、血糖コントロールを意識して生活に取り入れていきましょう!
血糖値を下げるホルモンはインスリン
食事によって血液中のブドウ糖が増えると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌され、ブドウ糖は骨格筋に取り込まれてエネルギーとして活用されます。
空腹時などでは、体内に蓄えられていた脂肪をエネルギーとして利用するため、中性脂肪が分解され放出されます。この脂肪の放出や貯蔵をコントロールしているのが、インスリンというホルモンです。
やせていても高血糖かもしれない現実
日本の女性は、標準体重よりも低いだけでなく、次の特徴に当てはまる人が多いです。
- 筋肉量が低い
- 身体活動量が少ない
- エネルギー摂取量が低い
これが、糖尿病(2型)のリスクが高い状態ということが、近年の研究でわかってきました。
やせて筋肉が少ないと、血糖の取り込み機能が働かず、高血糖になりやすいのです。
このリスク低減させるために有効なことは、「食事の改善」と「筋肉をつけるための運動」です。
1型糖尿病:すい臓の細胞が壊れ、インスリンがほとんど分泌されなくなることによる
2型糖尿病:生活習慣や遺伝により、インスリンが分泌されにくくなることによる
参考)https://www.juntendo.ac.jp/news/20210216-01.html
朝食は抜かない!でも炭水化物だけはNG!
1日を通して血糖を改善するには、最も上昇している朝食後の血糖をまず低下させることがポイントになります。
血糖とインスリン分泌は、明け方から上昇し始めます。そして食事を摂ると血糖が急上昇し、インスリンも分泌され、血糖が下がるとインスリン分泌も抑制されます。
これは食事のたびに起こりますが、1日の最初の食事、つまり朝食後の血糖が最も高くなります。この朝食後の血糖値をいかに急上昇させないようにするかが大切なのです。
朝食を抜いてしまうと、昼食・夕食の血糖値が急上昇や、インスリン分泌のタイミングを遅らせることにつながります。かといって、朝から菓子パンなど、炭水化物のかたまりを摂ってしまうと、血糖値は急激に高くなります。
血糖値コントロールのポイント:食事編
・決まった時間に食事をする
・1回の食事は15分以上かけて、食べすぎないように
・食物繊維、タンパク質を意識して摂る
・パンよりも、米+もち麦などの雑穀が◯
・食べる順番を意識して、血糖値の急上昇を防ぐ
・間食するなら食後にする
食事リズムを整えると、食後の血糖上昇とインスリン分泌のタイミングが安定し、血糖値をコントロールしやすくなります。
15分は、血糖値が上がり出す情報を満腹中枢がキャッチするまでにかかる時間です。時間をかけると噛む回数も増え、食べ過ぎ防止につながります。
食物繊維には、糖質の吸収スピードを遅らせます。野菜、海藻、こんにゃくなど、食物繊維の豊富な食材を最初に食べると、血糖値の上昇がゆるやかになります。タンパク質もしっかり摂りましょう。
パンよりごはん、さらに食物繊維が多いもち麦などの雑穀を加えると、噛む回数を増やし、血糖値の上昇がゆるやかになります。
間食を食後にすると、血糖値の急上昇や上昇回数を低減できます。フルーツも食後がおすすめです。
血糖値コントロールのポイント:運動編
・軽く息が上がる程度の運動を1日30分、週2日以上(18~64歳)(「健康づくりのための身体活動基準」より)
・食後に体を動かす(ベストは食後20~30分内)
・毎日、少しでも動く
・ストレスをためない
食後は、上昇した血糖値を速やかに元のレベルまで下げるため、糖の大半が骨格筋へ取り込まれます。一方で、運動中の骨格筋は、エネルギー源として活発に血糖を取り込みます。そこで、食後、とくに朝食後に体を動かし、骨格筋の働きを高めることがポイントになります。
例えば、在宅の人なら、食後に掃除洗濯をしたり、ランチタイムに10分でも動画を観ながらエクササイズしたりするのはいかがでしょうか?
通勤がある人は、駅まで早歩きしたり、エスカレーターやエレベーターを使わず階段を使ってみたりすることなら、取り組みやすく継続しやすいのではないかと思います。
体を動かすことは、血糖値コントロールだけでなく、精神的なリフレッシュにもつながります。5分でも10分でも、毎日できる運動を生活に取り入れていきましょう!
血糖値コントロールの実践におすすめの本
「そもそも血糖値ってなんですか?」福田千晶著、主婦の友社
医師である著者が、血糖値コントロールをわかりやすい言葉で解説している本です。朝の過ごし方に着目し、簡単にできる食事レシピ、家事の途中にできる運動も提案されています。血糖値コントロールを手軽に学び、実践したい人におすすめです!
オレンジページ おとなの健康レシピ 血糖値を下げる献立 (オレンジページムック)
1食につき糖質60g未満に抑えた、血糖値コントロールレシピ本です。日々の献立にそのまま使いたい人におすすめです!
「確実に血糖値を下げる食べ方と生活」渡邉 賢治監修、辰巳出版
糖尿病の専門医による、食後高血糖についての解説と、食後高血糖を改善する食材・レシピが紹介されています。
HbA1cの長期的なチェック、食事は決まった時間にゆっくり、を心がけて、少しでも継続できる運動を取り入れながら、血糖値コントロールをしていきましょう!
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