「グルテンフリー」と「小麦不使用」は違うの?

アレルギー

こんにちは。
最近日本でも「グルテンフリー」の食事が流行っていますね。「グルテンフリー」の食材は、スーパーでも取り扱われるようになってきてるので、身近に感じている方もいらっしゃるかと思います。
私もよく目にしますが、商品のパッケージを見ていて、ある思いがわいてきました。それは「グルテンフリー」と「小麦不使用」の表示が混在しているのではないか?ということです。

「グルテンフリー」なら小麦アレルギーの人も食べられる、「小麦不使用」と書いてあるから「グルテンフリー」なんだ!と思われる方もいるのではないでしょうか。

小麦アレルギーの方の中には、「グルテンフリー」の表示にとまどい、安心して食べられるものが選びにくくて困っている方もいらっしゃると思います。

結論からいいますと、「グルテンフリー」と「小麦不使用」は違います。

ここでは「グルテンフリー」を実践する方も、小麦アレルギーの方も、安心して食べられるものを選べるよう、グルテン、小麦、アレルギーについて解説していきます。

「グルテンフリー」とは?

「グルテンフリー」とは、もともと消化器系の遺伝的な疾患「セリアック病」(後述)のために考えられた食事方法でした。グルテンを摂取しないことで症状を改善し、体調をコントロールする食事療法です。それが、やがて海外のトップモデルやアスリートたちに注目されるようになり、主に体質改善や、コンディションを良くする目的で実践されるようになりました。
今では日本でも、健康志向の理由から、「グルテンフリー」の食事が選ばれるようになってきています。

グルテンとは

グルテンは、主に小麦(※)に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のタンパク質がからみ合ってできる物質です。小麦粉に水を混ぜよくこねることで、粘りと弾力を生み出すのが特徴です。
※ライ麦、大麦も、欧米ではグルテンを含む食品として扱われています。それは、

  • タンパク質の構造が小麦と似ている(「交差抗原性」)
  • 生産・製造過程が小麦と同じであることが多い

といった点で、グルテンが混入している可能性が高いと考えられるためです。

でも日本には、「グルテンフリー」を表示する基準はありません。

参照

米国規制情報調査―食品におけるグルテンフリー表示規則―

欧米・豪州等6か国、組織におけるグルテンフリー表示に係る調査報告書 NPO法人 国内産米粉促進ネットワーク(CAP.N)

セリアック病

グルテンを摂取することで、自己免疫機能が異常に働き、小腸の組織を攻撃してしまう病気です。
健康な人がグルテンを摂取した場合は、体内で問題なく消化吸収されます。でも中には、グルテンを消化吸収できるまでの大きさに分解できない人もいます。そういった人がグルテンを摂取すると、小腸が傷ついてしまい栄養を吸収できなってしまいます。小児の症状では、お腹が張ったり、強い悪臭の便が出たりして、成長不良も起こります。
この病気は、まだ完治させる治療方法がないため、グルテンを除去した食事(「グルテンフリー」食)を実践することが唯一の方法とされています。

ここで、注意しなければならない点があります。それは、「グルテンフリー」と書かれた食べ物と、小麦アレルギーに対応した食べ物は異なるということです。

小麦アレルギーとは?

小麦アレルギーは、鶏卵、牛乳・乳製品に次ぎ日本で3番目に多い食物アレルギーです。

小麦に含まれるタンパク質の大半を占めているのがグルテンで、「グリアジン」と「グルテニン」という2つから構成されています。小麦アレルギーの反応は、複数あるタンパク質のどれに出るかは、人によって異なります。そのため、「グルテンフリー」であるからといって、必ずしも小麦アレルギーの人が食べられるとは限りません。

またライ麦や大麦は、小麦と構造が似ていること、同じ製造ラインで扱われている可能性が高いことは前述しましたが、小麦アレルギーであっても、ライ麦や大麦の除去が必要ない場合もあります。

食物アレルギーの疑いがある場合は、専門の病院を受診し、自分がどの物質に反応するのかを知ることが大切です。そして小麦アレルギーの人がライ麦や大麦を初めて口にする場合は、主治医とよく相談してからにしましょう。

参考
フードバリアフリー協会

アレルギーの表示

アレルギーに関しては「食品表示法」という法律で定めれています。
具体的には、次の2つに分けられます。

  • 特定原材料:使用した食材を必ず明記する必要がある「義務品目」
  • 特定原材料に準ずるもの:表示するよう推奨されている「推奨品目」
特定原材料(7品目)卵、乳、小麦、そば、落花生(ピーナッツ)、えび、かに
特定原材料に準ずるもの(21品目)アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

結論:「グルテンフリー」と小麦不使用は同じでない!

  • 小麦は日本の法律でアレルギーの特定原材料として表示されている(表示義務があるため)
  • 「グルテンフリー」の表示は、日本に基準がなく統一されていない
  • 小麦に含まれるタンパク質はグルテンだけではない
  • グルテンを含む食材は、小麦だけではない

こういった点から、「グルテンフリー」の表示が小麦を使っていないことと同じではないことがわかります。

食材を購入するときも、外食するときも、原材料の表示をよく確認し、除去したい材料が含まれていないかを確認することが大切です。表示だけではわかりにくかったり、心配に感じたりしたら、店員に聞く、またはメーカーに問い合わせて確認するようにしましょう。

「グルテンフリー」に興味がある方、小麦アレルギーの心配がある方におすすめの本と食材

「グルテンフリーレシピ」伊藤ミホ著 清流出版

この本のレシピは、どれも「グルテンフリー」だけでなく、アレルギーにも対応しています。食物アレルギーと向き合われてきた著者自身の経験から、小麦のほか、卵、乳製品、大豆、そば、ごま、アーモンド、落花生、エビ、カニ、そして白砂糖を使わないレシピ集になっています。そのため、アレルギーの有無に関わらず、小さな子どもから大人にまで幅広く安心して使えるレシピ本です!

子どもの食物アレルギー あんしんBOOK (忙しいママ&パパのお悩み解決!)  今井 孝成 (監修), 近藤 康人 (監修), 高松 伸枝 (監修) 女子栄養大学出版部

こちらは、お子様に食物アレルギーの心配があって受診する前や、食物アレルギーがあるお子様が保育園・幼稚園などの集団生活に入る前に、知っておきたいことがわかりやすくまとめられている本です。離乳食以前から食物アレルギーをどう捉えたらいいかも書かれていますので、妊娠中や産後の方、これから離乳食をスタートする方にもおすすめです。

「グルテンフリー」のおすすめ食材については、別記事グルテンフリーの美味しいパスタ見つけた!をご覧ください。

安心して楽しく美味しく食べられるもの、一緒に食べられる人の輪が広がりますように。

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